ルーヴル美術館

「美術史」は高校までの学習科目に存在しません。そのため、何をどのように学ぶのか分からないのが通常です。
以下、よくある疑問にお答えします。

‣Q:高校の「美術」とどう違いますか。
‣A:高校までの「美術」の主な学習内容は、表現する・描くことを学ぶことです。「鑑賞」の時間もあると思いますが、その目的は傑作に学ぼう、ということではないでしょうか。
 「美術史」は、作品の中に何かを積極的に発見していくところに醍醐味がある学問分野です。発見するものは、「美」でなくてもかまいません。面白いもの、不思議なもの、気味の悪いものなどの「何か」を見出して、それにどんな意味があるのか、その背後に何があるのかを調べ、考えるというわけです。何を見出すかはあなた次第です。その見つけ方(観察のしかた)には技法があるのですが、それは言葉で説明しきれませんので、一緒に作品を見ることでお伝えしましょう。
‣Q:絵を描いたことがありませんが、大丈夫でしょうか。
‣A:大丈夫です。制作を学ぶわけではありませんから、芸術的センスは必要ありません(逆に言えば、このコースで絵が描けるようになるわけではありません)。必要なのは、ある程度の好奇心と積極性です。予備知識も特に必要ありません。
‣Q:建築も学べますか。
‣A:はい。「美術史各論(3)」では建築を取り上げます。また演習、ゼミで美術館について学ぶ際には、建築は大切な注目ポイントです。卒論では、これまでも建築や都市景観をテーマに書いた人たちがたくさんいますよ。
‣Q:他大学の同種のコースと較べて、どんな特徴がありますか。
‣A:まず、美術史を学ぶ専用のカリキュラムを設置している大学は、多くはありません。よく比較される〈MARCH〉で言えば、このコースの他には青山学院大学にしかありません。またこれらの大学の仏文科と比較すると、美術史の学位を持ち刊行物のある専門家から美術史を学べる唯一の専攻という利点があります。一方、他大学の「美術も学べる」仏文専攻の教員は、文学の専門家です。本コースの教員は、美術館等とのネットワークもあります。
 またこのコースはフランス語文学文化専攻内にあるので、西洋美術の学修に有利なフランス語の科目が最初から設けられている点に特長があります。ネイティヴを含めた専門の教員からフランス語の本格的な教育を1年次から受けられます。留学にも有利です。
 2年次以降も語学文学文化コースの科目を履修してフランス語を伸ばすことができます。つまり、やる気次第で美術史と高いフランス語能力の両方を身につけることが可能です。そのフランス語力が、就職や進学、留学、そして専門職に就くにあたって役に立つでしょう。
‣Q:フランス語を学んだことがありませんが、フランス語力は必要でしょうか。
‣A:フランス語文学文化専攻内のコースですので、1年次でフランス語の基礎を学びます。2年次以降も、語学文学文化コースの授業を履修して、磨きをかけることもできます。入学時点でフランス語に初めて触れる人がほとんどですから、初学者でも心配ありません。常勤・非常勤のフランス人教員も多く配置されていますので、会話力を磨くこともできます。留学の機会も複数あります。
‣Q:フランス以外の美術に興味があるのですが。
‣A:フランス以外の美術史についても、例えばイタリア美術史を「美術史各論」で取り上げます。フランス美術史を理解するには、イタリアやオランダその他の美術史を知る必要があるからです。そのためふだんの学修の対象は、フランス美術には限りません。オランダ絵画も、イギリスの工芸も、ドイツの宗教画も登場します。またフランスに留学した日本人画家の作品も、興味深い研究対象になるでしょう。現代日本の美術館の状況について取り上げてもかまいません。卒業論文研究はオーダー・メイドですので、受講生の関心にあわせて指導を行ないます。必要に応じて、専門家のネットワークを通じて他大学の美術史教員を紹介します。
‣Q:コース生はどんな人たちですか。何人くらいいますか。
‣A:2019年頃から、このコースを目指して専攻に入学した人が目立つようになりました。一方、もともと美術にはさほど(もしくは、まったく)興味はなく、中大入学後に美術史の授業を受けて面白さに目覚めたひともたくさんいます。したがって、この分野を学ぶにあたって予備知識や、特別な芸術的感性は必要ありません。一方、関心と積極性(特にフットワークの軽さ)は望まれます。美術作品にはだいたい足がなく、向こうからは歩いてこないからです。美術館や作品を、ちゃんと理由があって訪ねる旅は、楽しいですよ。
 コース生の人数は、ここ2年間は30名から40名で、専攻の1学年全体の約4割弱が美美コースを選択しています。
‣Q:コース生のジェンダーバランスはどうですか。
‣A:前身の美術史ゼミを含めて、約9割が女性です。私の知る限り、この傾向は美術史を学べる主要な大学に共通しています。また、美術館のスタッフにも女性が多い印象です。下記のQ&A(美術館スタッフのジェンダーバランス)をご覧ください。
‣Q:ゼミとサークル等との両立は可能でしょうか。
‣A:多くのゼミ生が、サークル活動をしています。美術館見学などとの日程調整は必要ですが、日常の活動には差し支えありません。ただし、週末がまったく使えないほど忙しいと、美術館見学に支障があります。
‣Q:就職状況はどうですか。
‣A:美術史を修めた卒業生は、幅広く各種企業に就職しています。航空・鉄道、金融、IT、食品、メーカー、小売、公務員など多彩ですが、広告・広報や建築関連、アパレル、インテリア、出版など美術史・美術館について学んだことを評価されて仕事に進んだ人もいます。また例年1〜2名が大学院進学を希望しています。
‣Q:学芸員になるにはどうしたらいいですか。
‣A:まず学部2−3年のうちに学芸員資格課程を受講して下さい。さらに大学院修士課程修了により、有利になります。大学院では、美術館でインターンシップを行って単位を取ることもできます。
 あとは卒業研究に真剣に取り組みましょう。英語・フランス語も武器になります。もちろん、多くの美術館見学を積み重ねておくことも重要です。
 なお学芸員資格は国家資格であり、美術館・博物館以外の世界でも評価される資格です。美術や展示施設、文化政策の歴史と現状に詳しいことを証明する資格ととらえれば、広告、メディア、建築/内装、旅行、教育、公共機関などの分野で役に立つでしょう。
 学芸員資格は他専攻でも取得できますが、資格の性格と専攻内容が一致している方が有利であることは言うまでもありません。
‣Q:美術館スタッフのジェンダー・バランスはどうですか。
‣A:文科省の調査によれば、2021年10月時点で美術館学芸員のうち715人が女性、男性は449人です(登録博物館の専任学芸員のみ。学芸員補は除きます。詳しいデータはこちらのページ内の「博物館の職員数」ファイルをダウンロードしてください)。学芸員以外の職員についても、女性が男性の1.2倍います。
 実際、学芸員をはじめ美術館のスタッフとして活躍する女性は非常に多い印象で、美美コースや学芸員課程の授業で多くの美術館を見学しますが、学芸員を含めて女性スタッフにお会いしないことは稀だというのが実感です。また、展覧会企画や展示を専門とする企業の専門スタッフにも、女性が多い印象です。一方、大学で美術史を担当する教員については、相対的に男性が多いように思います。ただし美美コースについて言えば、授業担当6名中5名が女性です(このサイトの「スタッフ紹介」をご覧ください)。
 近年、森美術館横浜美術館金沢21世紀美術館など活発・斬新な活動で注目される美術館が、女性館長を迎えています。また、独立行政法人国立美術館の理事長も女性です。参考にしてください。

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